蛇口(水栓)から水が漏れる主な原因とは?部位ごとの劣化ポイント
キッチンや洗面所の蛇口から“ポタポタ”と水漏れが続くと、見た目の不快感だけでなく水道代の無駄遣いにもつながります。最も多い原因は以下の3つ。原因がわかれば、ご自身でも交換修理を試せる場合があります。
1. ゴムパッキン(バルブパッキン)の劣化・ひび割れ
- ハンドルを閉めたときに水が止まらない場合、多くは蛇口内部にある「いわゆるパッキン(弁座とバルブパッキン)」のすり減りやひび割れが原因。
- 一度の水圧でゴムパッキンが押しつぶされるため、数年使うと隙間ができて水が少しずつ漏れる。
2. コマ(セラミックディスク)の摩耗・割れ
- レバーハンドル式の単水栓や混合水栓では、内部にある「コマ」と呼ばれる金属製またはセラミック製の部品が摩耗したり
セラミックが欠けることで、
閉じた時に水をシールできず漏れるケース。 - コマタイプの場合はパッキン交換だけでなく、「コマ交換」か「カートリッジ交換」が必要。
3. シャワーホース・スパウト接合部の緩み
- シャワータイプ混合栓では、ホースと本体の接合部からじわじわ漏れる場合がある。
ネジ山部に使われているパッキンが劣化して弾力を失うことが原因。 - ホース内で水が反転して内圧が高くなると、配管接続部のシールが切れて漏水する。
必要な工具・部品と準備しておく情報
DIY修理に挑戦する前に、必要な工具と部品を確認しておきましょう。事前準備が整っているとスムーズに作業できます。
用意する工具
- マイナスドライバー&プラスドライバー:蛇口ハンドルの蓋をはずす、ネジを緩めるため。
- モンキーレンチ(管用)/ウォーターポンププライヤー:ナットを回すため。
ホースバンド専用プライヤーがあればベスト。 - スパナ(モリブデン鋼製など丈夫なもの)各種:止水栓・本体固定ナットなど複数サイズを用意。
- ペンチ(ロングノーズ/プライヤー):小さなクリップ・Oリングを掴むときに便利。
- 輪ゴムまたはタオル:蛇口本体の金属を傷つけないようにナット部に挟むため。
用意する部品・消耗品
- バルブパッキン(ゴムタイプ):ホームセンターで「蛇口用バルブパッキン」として販売。
メーカー純正品がベストだが、汎用タイプでも合わせてみる。 - コマ(セラミックディスク)/カートリッジユニット:蛇口の型番をメモして、メーカー取扱店か通販で同じ型番のものを購入。
- Oリング(シリコーン製推奨):ハンドル軸部・ホース接続部のパッキンとして使用。
- テフロンテープ(シールテープ):ネジ山部のシール補強として予備を用意。
- グリース(シリコーングリース/バルブグリース):Oリングやパッキンを組み付ける際、
滑りを良くして組み込みやすくするため。
情報をメモしておくポイント
- 蛇口本体の「メーカー名」「型番」「シリーズ名」をメモ。
混合水栓か単水栓か、シングルレバーかツーハンドルか。 - 給水元栓(止水栓)の位置を事前に確認。
キッチン下・洗面台下の止水栓を閉める必要がある。 - 水道メーターの場所と開閉方法を把握。
止水栓を締めても水が止まらない場合は、メーターのバルブを閉じる。
パッキン(ゴム)交換手順:最も多い「蛇口ポタポタ」修理ケース
蛇口から「ポタポタ」と小さな水滴が垂れ続ける場合、多くはゴム製のバルブパッキンが劣化していることが原因です。以下の手順でパッキン交換を試してみましょう。
Step1:止水栓を閉め、水抜き
- シンク下の止水栓を右に回し、完全に閉める。
なお、給水元栓(屋外のメーター横)も同様に閉める。 - 蛇口のハンドルをひねり、水を完全に出し切って配管内の残水を抜く。
Step2:蛇口ハンドルの分解
- ハンドル先端のキャップ(装飾パーツ)をマイナスドライバーでそっとこじ開けると、ネジが露出。
- プラスドライバーでハンドル固定ネジを外し、ハンドル本体を引き抜く。
- 続いてバルブナット(ハンドル直下の六角ナット)をモンキーレンチでゆるめ、「カートリッジ」「スピンドル」と呼ばれる部品を引き抜く。
Step3:ゴムパッキンの取り外し・確認
- スピンドル先端部にあるバルブパッキン(ゴム製の丸いパッキン)をペンチで掴んで取り外す。
- パッキンがひび割れている・厚みが減っている場合は交換時期。
型番がわからない場合は、同じ直径・厚みのパッキンを当てがって確認。
Step4:新しいパッキンを取り付け
- 新しいパッキンの縁にシリコーングリースを薄く塗り、スピンドルに差し込むと滑りが良くなる。
- スピンドルを元の位置に戻し、バルブナットをしっかり締める。
(締めすぎないように注意。ゴムパッキンが変形しすぎると再び漏れる恐れあり) - ハンドルを取り付け、ネジで固定したらキャップをはめて完了。
Step5:止水栓を開けて漏れチェック
- 止水栓をゆっくり開け、給水管内に空気が入らないよう注意しながら給水。
- 蛇口を少し開けて水を出し、漏れが止まったかどうかを確認。
漏れるようであれば、バルブナットを少し緩めて再調整する。
これで多くの「ポタポタ水漏れ」は解消できます。道具代は合わせても2,000~3,000円程度なので、DIYで解決する価値は高いでしょう。
コマ交換(カートリッジ交換)手順:レバーハンドル混合栓で水が止まらない場合
レバーハンドル式の単水栓や混合水栓(キッチン水栓・洗面水栓)で、ハンドルを完全に閉めてもシャワー吐水部や吐水口からポタポタ漏れが止まらない場合、コマ(セラミックディスク)やカートリッジユニットの劣化が原因です。以下の手順で交換を行います。
Step1:止水栓を閉めて残水を抜く
- 先ほどのゴムパッキン交換と同様に、止水栓を閉めて配管内の水を完全に抜いてから作業。
Step2:ハンドル・装飾キャップの取り外し
- ハンドル上部のキャップをマイナスドライバーで慎重に外し、ネジを抜いてハンドル本体を引き抜く。
- 混合水栓の場合は、蛇口の先端にあるシャワーヘッドを外しておくと作業がしやすい。
Step3:カートリッジ固定ナットの緩め
- ハンドルを外すと、カートリッジを固定している「固定ナット」や「カートリッジ固定パーツ」が見える。
- ウォーターポンププライヤーやプライヤーでナットを反時計回りにゆっくり緩める。
(多くは樹脂製なので力をかけすぎるとねじ山を壊す恐れがある) - ナットを外し、カートリッジユニットを引き抜く。
古いカートリッジは内部でセラミックディスクが摩耗・欠けていることが多い。
Step4:新しいカートリッジの取り付け
- 購入したメーカー純正のカートリッジを、元の向きと同じ位置にセット。
中央の穴や凹凸の位置を合わせるのがポイント。 - カートリッジを奥までしっかり差し込んだら、固定ナットを時計回りに締めて固定。
このとき、手作業で締められなくなったらプライヤーで最後のひと締め。 - ハンドルを戻してネジを締め、装飾キャップをはめる。
Step5:止水栓を開けて漏れチェック
- 止水栓をゆっくり開け、動作を確認。
ハンドルを開閉し、お湯・水の給水量が正常か、水漏れはないかをチェック。 - 異音(カチカチ音)や引っかかりを感じる場合は、再度取り付け位置やOリングに異物がないかを確認する。
コマ交換は部品代が6,000~10,000円、工賃を頼むと10,000~15,000円が相場です。DIYでやれば、「パッキン交換」と同じく部品代のみで修理できるため、節約効果は大きいでしょう。
蛇口本体の交換が必要なケースと費用目安
以下のようなケースでは、蛇口本体そのものを交換したほうが安全かつ長持ちします。
- 内部部品がすべて入手困難
10年以上前の蛇口で、パーツが製造停止になっている場合。 - ハンドル部が固着して回らない
内部の金属部品が腐食しており、本体を外しても分解できない場合。 - 本体がひび割れている
プラスチックや亜鉛メッキ部分が割れており、水漏れのリスクが高いケース。
本体交換の際は、以下の手順で進めるとスムーズです。
Step1:新しい蛇口の型番・仕様を確認
- 現在設置されている蛇口と同じメーカー・シリーズであれば、
配管の位置・穴あけ寸法をそのまま利用できる。 - 異なる形状(シングルレバー→ツーハンドルなど)に変更する場合は、
シンクや洗面台に新たな穴あけが必要になるケースもある。
Step2:給水元栓を閉め、古い蛇口を取り外す
- 止水栓を完全に閉めて配管内の水を抜く。
- 蛇口下の固定ナットをプライヤーで緩め、本体をシンク上から引き抜く。
- シンク周囲に残ったシーリング・パテをスクレーパーで取り除き、
新しい蛇口が密着するように下地を平滑に掃除。
Step3:新しい蛇口の取り付けとシーリング
- 新しい蛇口を同じ穴に差し込み、
付属のパッキンや締めナットで本体を固定。 - 付属の給水ホースを止水栓に接続し、テフロンテープでネジ山をシール。
垂直にゆっくり締めて、漏れがないかチェック。 - シンクと蛇口の接合部に防カビシリコンシーリングを充填し、
水が下に回り込まないように気密性を強化。 - 止水栓を開け、ハンドルを回して給水・給湯状態を確認。
ガタつきや漏れがなければ完了。
費用相場
- シングルレバー混合水栓(中価格帯・キッチン用):15,000~30,000円(本体のみ)。
- シャワー付き混合水栓(高機能タイプ):30,000~50,000円(本体のみ)。
- 交換工事費(蛇口交換+シーリング込み):10,000~15,000円程度。
- 撤去・廃材処分費:2,000~3,000円程度。
簡易的な蛇口水漏れ応急処置まとめ
「今すぐ直したいけれど部品が手元にない」「工具が足りない」という場合、以下の応急処置で一時的に水漏れを抑えましょう。
- 止水栓を閉める:配管内の水を完全にカット。
- ビニールテープ+プラスチックバッグを巻く:パッキンの部分にラップまたはビニール袋を巻きつけ、
その上からガムテープをぐるぐる巻きにして
一時的に水漏れを止める。(完全ではないが数時間~数日凌げる) - ネジ部に瞬間接着剤を少量塗る:ひび割れが小さい場合は十分に乾燥させた後、
瞬間接着剤で穴を埋める(あくまで応急処置)。 - バケツで受ける:床が濡れないようにバケツや大型タオルを下に敷き、
後で床掃除を楽にする。
まとめ:原因に合わせてセルフ修理かプロ依頼かを判断
蛇口からの水漏れは、バルブパッキンの劣化、水栓コマの摩耗、配管接続部の緩みが主な原因です。
パッキン交換やコマ交換はDIYで十分対応可能で、材料費は数百円~数千円。
しかし、配管破裂や本体の深刻な腐食がある場合は、蛇口本体交換や配管交換が必須なので、
無理せず水道屋に依頼して安全性を確保しましょう。
「止水栓を閉める」「応急テープで止める」などの応急処置を行いつつ、必要な工具・部品をそろえてセルフ修理にチャレンジしてみてください。




