マンション・アパートでの共有配管漏水チェックと修理の流れ

マンション・アパートでの共有配管漏水チェックと修理の流れ

集合住宅特有の給水・排水配管構造と漏水リスク

マンションやアパートでは、1階から最上階まで共有された「縦主管」と呼ばれる配管が建物内部を縦断しています。この構造ゆえに、一住戸で発生した漏水が上下階に波及するリスクがあります。主な漏水原因と被害予防策を整理しましょう。

1. 縦主管の継手部の劣化・パッキン劣化

  • 竣工から10年以上経過すると、共有配管の継ぎ手部やバルブパッキンが劣化し、
    小規模な漏水が発生することがある。
  • 末端の住戸の水滴がポタポタ漏れても、上階にまで雨のように漏れることがあり、
    建物全体の構造に影響を及ぼすリスクあり。

2. 各住戸内の接続部の緩みや不具合

  • 各住戸で使用する「給水分岐栓」や「止水栓」を閉めて点検しないと、
    共用配管の漏水と区別がつきにくい。
  • 水道工事会社や管理組合が実施する定期点検を受けず、住戸内の配管劣化が見逃されるケース。

3. 浴室・洗面所の排水トラップの水切れ・逆流

  • 長期不在の部屋では排水トラップの水封が切れ、
    排水口から建物内の下水ガスが漏れ、部屋中に悪臭が拡散。
  • 逆流防止弁が古く機能しない場合、外部の排水桝からの逆流が住戸内に流れ込むリスクがある。

集合住宅特有の被害リスク

  • 1階の漏水で2階の床材がすぐに腐食し、
    工事範囲が床全体に拡大することが多い。
  • 共用部分の配管は、管理組合や管理会社が責任を負うが、
    住戸内の給水管は個人負担となるケースがあるため、
    修理費負担の線引きがトラブルになりやすい。

自分の住戸でできる漏水チェック手順

まずは自分の住戸内の配管が原因で漏水が起きていないかを確認し、そのうえで管理会社や業者へ連絡しましょう。

Step1:止水栓を閉めてメーターを確認

  1. 各住戸内の止水栓(洗面所・キッチン・トイレ・浴室)をすべて閉めた状態で、
    部屋内の水道メーター・共用メーターどちらが該当するかを確認。
  2. メーターが動かなくなれば、共用配管ではなく住戸内の漏水が疑い薄。
    動く場合は住戸内または共用配管に漏水がある可能性あり。

Step2:水栓をひとつずつ開閉して水音を探す

  • キッチン蛇口・洗面水栓・トイレタンク・浴室シャワーなど、
    住戸内のすべての水栓を順に開閉し、水音が聞こえるかをチェックする。
  • 閉めても止まらない蛇口やタンクがあれば、
    住戸内で修理が必要な箇所を特定可能。

Step3:床下点検口があれば点検

  • 専有部に床下点検口がある場合は開けて配管沿いを目視確認し、
    水滴・染みがないかをチェック。
    無ければ管理会社に点検を依頼する。

共有配管側の漏水を発見したときの対応フロー

管理組合や管理会社に連絡する前に、以下の情報をまとめておくとスムーズです。

Step1:漏水発生箇所の特定情報を整理

  • 発生日・時間帯:大雨時のみ・常時ポタポタなど。
  • 場所の特定:ユニットバスの脱衣場床・廊下天井・1階玄関床・エントランス側配管室など。
  • 水の色・臭い:給水か排水かを区別するため、茶色い濁水や下水臭があるかをメモ。
  • 他住戸の状況:隣居や上下階で同様の漏水・悪臭があるか確認。

Step2:管理会社・管理組合への連絡と情報提出

  1. メールや電話で「給水配管から水が漏れている疑いがある」「雨が降るたびに1階の廊下が濡れる」など、
    状況を詳しく伝える。
  2. メーターの状態がわかる写真や、
    床下・天井裏・配管室の水漏れ箇所の写真を撮影して添付すると迅速な対応が期待できる。
  3. 管理会社から依頼されたら、
    共用配管漏水調査(防水業者による漏水探知機調査)を実施。
    調査費用は基本的に管理組合が負担することが多い。

Step3:修繕工事の実施と費用負担の按分

  • 共用配管の損傷なら、管理組合が管理業者を手配し、
    集合住宅共通費(修繕積立金)から工事費用を負担。
  • 専有部の漏水(個別配管)なら、
    居住者本人が工事費用を負担し、修繕業者に依頼する。
  • どちらか判断がつかない場合は、
    管理会社を通じて配管境界を明確化し、修繕範囲と負担割合を協議する。

集合住宅での漏水予防策と管理組合向け提案

マンション・アパート全体で漏水リスクを下げるには、以下のような取り組みが効果的です。

1. 年1回の共用配管点検・防水工事計画

  • 管理組合が支援して、専門業者によりエントランス側や共用廊下の配管を漏水検知機で点検する。
  • 外壁・共用廊下の配管が劣化していれば、早めに更新・防水対策を講じる。

2. 専有部の配管類定期交換スケジュールの策定

  • 各住戸で10〜15年が経過した給水・給湯配管を一斉に更新。
    長期修繕計画に組み込むことで、
    住民への案内・協力を得やすくなる。

3. 住民向けの注意喚起・啓発活動

  • 冬季凍結予防として、
    住民一人ひとりに配管断熱や凍結防止の注意を促すチラシや掲示物を配布。
  • 災害時の応急処置方法(止水栓の締め方・連絡先など)を、
    各戸のドアポケットやエレベーターホールに掲示。

まとめ:漏水は早めの発見・対処が最も重要

集合住宅の漏水は、専有部だけでなく共用部の配管劣化や凍結によって発生し、建物全体に甚大な被害を及ぼすことがあります。
住戸内でできる漏水チェック(止水栓チェック・水栓音の確認)を日頃から実施し、異常があればすぐに管理会社へ連絡。
管理組合は、長期修繕計画に漏水対策を組み込み、
定期点検・住民への啓発活動を行うことで、集合住宅全体の安全性を高めましょう。

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