給水管の赤水・サビ水対策──原因・浄水器活用・配管リフォーム

給水管の赤水・サビ水対策──原因・浄水器活用・配管リフォーム

赤水(サビ水)が出る原因とは?放置のリスク

「蛇口をひねると赤茶色の水が出た」「洗濯物が茶色に汚れた」という場合、それは給水管内部のサビが原因の赤水です。赤水を放置すると、家電や配管設備の故障、健康リスク、衛生問題を招くため、早急に対策を行いましょう。

1. 古い配管(亜鉛メッキ管・鉄管)の腐食

  • 築年数が古い家屋では、給水管に「亜鉛メッキ鉄管」や「黄色鉄管(JIS G3444)」が使われており、
    水道水中の溶存酸素と反応して錆びが進行する。
  • 細かなサビ片が水と一緒に流れ出し、蛇口から赤茶色の水として現れる。

2. 近隣工事や水道本管のメンテナンスによる一時的な赤水発生

  • 地域の水道本管で清掃・維持点検作業が行われると、水道管内のサビや汚れが剥離し、
    一時的に赤水が流れ込むことがある。
  • この場合は数分~数時間で徐々に水が透明に戻るが、浄水器や水質チェッカーで確認すると安心。

赤水を放置すると起きるリスク

  • 水道機器(洗濯機・食洗機)の内部部品にサビが付着し、消耗部品の劣化を早める。
  • 浄水器のフィルターが赤茶色に染まり、ろ過能力が低下。
    交換サイクルが短くなる。
  • 飲用すると鉄分過多で胃腸障害を起こすリスク。また、
    赤水が発生する水は他の金属イオンも溶け込んでいる可能性があり、健康への影響が懸念される。

一時的な赤水の対策:家庭でできる応急処置

地域の水道本管工事やメンテナンスが原因で赤水が発生した場合は、以下の手順で家庭内の赤水を一時的に抑えられます。

Step1:蛇口を開けてしばらく(5~10分)洗い流す

  • 最初に出る赤茶色の水を洗い流し、徐々にクリアな水になるまで蛇口を開けっぱなしにする。
  • 汲み置きにした水は飲用せず、植木の水やりや花壇への散水などに再利用し、
    節水と廃棄を抑える。

Step2:浄水器・蛇口直結型フィルターを活用

  • 蛇口に取り付ける「蛇口直結型浄水器」を利用すると、サビやカビ臭をろ過できる。
    カートリッジ交換サイクル(1~3か月)が短くなる点に注意。
  • 据え置き型の「浄水用ポット」や「卓上浄水器」でも一定のサビ除去が可能だが、
    除去能力は蛇口直結型ほど高くない。

Step3:飲用水はミネラルウォーターやボトルウォーターを利用

  • 赤水が収まるまでの間、飲用や料理用には市販のミネラルウォーターやボトルウォーターを使う。
  • トイレや掃除などには赤水をそのまま使うことも可能だが、
    衣類への赤茶色シミには注意し、使用後は酢や酸性洗剤でシミ抜きする。

給水管のサビ・赤水を根本的に防ぐ方法:配管リフォームと素材選び

赤水トラブルを根本的に解消するには、古い配管を新しい素材に交換する「配管リフォーム」が最も確実です。以下に、配管リフォームの流れとポイントを解説します。

1. 配管材の種類と特徴

  • ステンレス鋼管(SUS304など)
    メリット:サビに強く耐久性が高い。
    デメリット:銅管に比べてやや価格が高い。
  • 給水用ポリエチレン管(PE管)
    メリット:サビやカルキに強く、軽量かつ加工が容易。
    デメリット:熱の影響を受けやすく、湯水混合部には不向き。
  • 銅管(新型赤銅管・高耐食銅管)
    メリット:昔ながらの信頼性。
    新型銅管は内部表面にサビ止め処理が施されており、赤水リスクが低い。
    デメリット:価格がやや高く、施工時にハンダ付けが必要。
  • 架橋ポリエチレン管(PE-Xa管)
    メリット:耐熱性が高く、給湯管として利用可能。
    耐サビ性・柔軟性に優れる。
    デメリット:固定金具や継手が銅管よりも高価。

2. 配管リフォームの手順と注意点

  1. 事前調査
    配管のルート、最寄りの給水元栓、床下・壁内配管の位置を確認。
    配管交換範囲を明確にし、施工費の見積もりを複数社から取得。
  2. 配管材選定
    「耐サビ性」「給湯兼用」「予算」「施工性」を考慮して、最適な配管材を選定。
    築年数が浅く、将来的に耐久性を重視するならPE-Xa管+ステンレス継手がベター。
  3. 既存配管の撤去・配管打ち替え
    床下や壁内の配管を丁寧に撤去し、新しい配管を設置。
    塩ビ管や銅管は、パイプカッターや配管専用工具を使用して切断。
    PE管は配管加工が容易だが、継手は専用工具で圧着する必要がある。
  4. 給水元栓接続・エア抜き
    新規配管を給水元栓に接続し、全蛇口を開けて配管内部の空気を抜く。
    飛び出す水がエアと一緒に外へ流れるため、しばらく水を勢いよく出してから止める。
  5. 配管周囲の断熱・保温処理
    冬季の凍結防止や熱ロス低減のため、配管全体に断熱材を巻きつけて、劣化防止のためにテープで密封する。

配管リフォーム工事費用の相場:1戸建て全館リフォームで約200,000~500,000円、部分的な配管打ち替え(10~15m程度)で約80,000~150,000円が目安。

浄水器・フィルターを活用した赤水対策:種類と選び方

配管リフォームが難しい場合や一時的に赤水を抑えたいときは、浄水器・フィルターを活用しましょう。以下に、代表的な浄水器タイプと選び方のポイントを紹介します。

1. 蛇口直結型浄水器

  • コンパクトで取付簡単。
    サビ粒子・塩素・カビ臭を除去し、透明度の高い水を供給できる。
    カートリッジ寿命は約2~3か月、費用は1,500~3,000円/本。
  • 選び方:
    「中空糸フィルター+活性炭」構成のものはサビ除去性能が高い。
    浄水能力・流量・メンテナンスのしやすさを比較する。

2. 据え置き型浄水器(ポット型・専用蛇口設置型)

  • 大容量の浄水ポットなら、赤水対策に有効だが、
    ポットへの貯水後も赤水を含む生水が一定量残る場合があるため、
    最初に出る水は必ず捨てる。
  • 専用蛇口を新たに設置するタイプは、
    赤水が混ざっている水栓と分けられるため、調理・飲用に安心して使える。
    工事不要のカートリッジ交換式もある。

3. 浄水機能付き立水栓・ウォーターサーバー併用

  • 庭やベランダに設置する「立水栓型浄水器」は、
    ガーデニングやアウトドア時の赤水対策としても有効。
  • ウォーターサーバーを設置すれば、
    常時クリアな水を確保できるが、導入コスト(サーバーレンタル+水ボトル購入)と
    定期メンテナンス費用が発生する点に注意。

赤水発生後の家電・設備メンテナンス方法

赤水が出た状態で家電を使うと内部部品にサビが付着し、故障リスクが高まります。以下の手順で、赤水の影響を最小限に抑えるメンテナンスを行いましょう。

1. 洗濯機・食洗機のクリーニング

  • 全自動洗濯機の場合、槽洗浄モード(お湯を使う場合)を利用し、
    内部に付着したサビを浮かせて排水する。
    定期的に「酸素系漂白剤+ぬるま湯」で槽洗浄を行う。
  • 食器洗い乾燥機は、
    給水ホース内に赤水が滞留しやすいため、
    「酢(5~10%)」を使ったクリーニングを推奨。
    酢を給水ホース経由で循環させることで、サビやミネラル汚れを溶かす。

2. 給湯器・給湯配管の対策

  • 給湯器の内部に赤水が残ると熱交換器や循環ポンプにサビが付くため、
    赤水が出る間は給湯運転を避ける。
    代わりに大鍋で湯を沸かして使うなどの応急策を。
  • 給湯配管内のサビは、
    プロによる高圧洗浄や薬剤洗浄で除去可能。
    給湯器専用メンテナンス業者に相談し、水質を確認してもらう。

3. 浴室・洗面台のシャワーヘッド・金具の掃除

  • シャワーヘッドは分解してノズル部を歯ブラシで擦り洗いし、
    カルキ・サビ汚れを除去する。
    シャワーヘッド内のパッキン(Oリング)も赤水で劣化しやすいため、
    定期的にチェック・交換。
  • 蛇口本体の金属部(メッキ部)は、
    クエン酸(食酢)を薄めたスプレーで拭き取り、
    サビの進行を抑える。

まとめ:赤水対策は「応急処置→浄水器活用→配管リフォーム」の流れで

給水管の赤水トラブルは、「古い配管のサビ」「地域の水道本管工事」によって発生します。
まずは蛇口を開けて赤水を洗い流し、浄水器・フィルターを活用して一時的にクリアな水を確保しましょう。
そのうえで、古い配管をステンレス管や架橋ポリエチレン管に打ち替えることで、赤水問題を根本的に解消できます。
浄水器や給湯器・家電へのサビ付着を防ぎ、健康被害や設備故障を未然に防ぐためにも、早めに対策を講じてください

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