給湯器から水が漏れる原因とは?放置すると危険な理由
冬の朝、お風呂を沸かそうとしたら給湯器からポタポタ水が漏れている……。そんなとき、慌てずにまず考えられる原因と、そのまま放置するとどんなリスクがあるのかを確認しましょう。
1. 本体タンクや配管のゴムパッキン劣化
- 長年使用していると、給湯器内部のゴムパッキンが硬化・ひび割れを起こし、継ぎ手部やバルブ廻りから漏水が発生。
- テーパー部やOリング部分が劣化すると、給湯時の高温水圧でシール不良を起こす。
2. 凍結による配管破裂・亀裂
- 寒冷地や冬季の夜間、給水管や給湯管が凍結して膨張し、配管内部にひび割れが生じる。
薄い銅管や塩ビ管の場合は、凍結によって割れやすい。 - 凍結防止ヒーターが切れていたり、給湯器前に置いた凍結防止用の電源プラグが外れていると要注意。
3. 給湯器本体の経年劣化・腐食
- 給湯器本体(ボイラータンクや熱交換器)の内部がサビつき、タンク接合部から漏水が発生するケース。
- ガス給湯器の場合、熱交換器側の接続部や循環ポンプ回りの腐食によって、給水漏れ・給湯漏れを起こす。
放置すると起こるリスク
- 漏水が床下に浸透すると、床下地や断熱材が腐食・カビ発生を招き、構造材を弱らせる可能性。
- 電気系統(水感センサーや温度センサー)が濡れてショートし、
給湯器本体が故障・火災発生のリスクを伴う。 - 水道料金が無駄に増加し、光熱費の急激な上昇を招く。
給湯器からの水漏れを自分でチェックする手順
プロに依頼する前に、まず自分でできる最低限のチェックポイントを押さえておきましょう。
Step1:給湯器周辺の水跡・湿り気を確認
- 給湯器本体の前方・左右・裏側に水たまりや湿っている箇所がないかを目視でチェック。
- 地面やコンクリート床に錆びた水跡がないかを確認し、給湯器配管部分に沿って漏れ箇所を探す。
- タンク下部や配管接続部にホコリやゴミが固着していないかも確認。
ゴミがあると、漏水量が少なくても気付きにくい。
Step2:バルブ・パッキン廻りのチェック
- 給水弁(止水弁)と給湯弁がしっかり閉まっているか、一度閉めてから再度ゆっくり開け、
水漏れが止まるかを確認。 - 給湯口・給水口に接続されているゴムパッキンを覗き込み、
ヒビ割れやへたりがある場合は簡易ホースバンドやパッキン交換で対応可能。 - オプションで取り付けられている循環金具や分岐水栓が外れていないかを確認する。
Step3:凍結・気圧弁まわりの確認
- 冬季の場合、凍結防止ヒーターの電源ランプが点灯しているかをチェック。
点灯していなければヒーター故障の可能性。 - 安全気圧弁(レリーフバルブ)から常時チョロチョロ水が出ている場合、
水圧が高すぎるか気圧弁本体の不具合が考えられる。 - 気圧弁側に設置してあるドレンホースの先が詰まっていると、
ドレンが本体に逆流して漏水するケースもあるので要注意。
プロにお願いする前に準備すべき情報と工具
業者に連絡する前に、以下の情報をまとめておくとスムーズにやり取りが進みます。
必要な情報
- 給湯器の型番・製造年月日:本体横あるいは前面パネルに刻印されている。
ガス給湯器なら「Rinnai(リンナイ)」や「Paloma(パロマ)」などメーカー名。 - 漏水の程度と発生状況:ポタポタ→常時滝のように漏れる、
給湯中のみ/給湯停止中にも漏れるなど。 - 使用年数とメンテナンス履歴:設置から5年以上経過しているか、
最近ガス会社点検やメンテナンスを受けたか。 - 設置環境:屋内設置か屋外設置か、壁掛け型か床置き型か、
雨風にさらされる場所かどうか。
用意しておくとよい工具・部品
- モンキーレンチ(管用)/ウォーターポンププライヤー:
給水管・給湯管のナットを緩めるため。 - 交換用ゴムパッキン(Oリング・平パッキン):
給水・給湯接続部のシール材として予備を用意。 - テフロンテープ(シールテープ):
ネジ部のシール補強用に数メートル程度。 - バケツ・スポンジ・雑巾:
配管を外した際に水が飛び散るので、水受けとして準備。 - 点検口用ミラー:
給湯器裏側の配管が見えにくい場合、ミラーで目視確認。
給湯器からの水漏れ修理方法と費用相場
給湯器本体の水漏れは、DIYで対応できる場合と業者に依頼すべき場合があります。以下に代表的な修理方法とそれぞれの費用目安をご紹介します。
1. ゴムパッキン/Oリング交換(DIY対応可)
- 修理手順
①給湯器の給水バルブ・給湯バルブを閉める。
②該当するナットをモンキーレンチでゆるめ、パイプを外す。
③古いゴムパッキン・Oリングを取り外し、新しいものを取り付ける。
④テフロンテープを巻いてナットを締め直し、水漏れがないか確認。 - 費用相場
– ゴムパッキン・Oリング:300~800円/個(ホームセンター価格)
– テフロンテープ:300~500円/巻 - 難易度・注意点
パッキンのサイズを正確に合わせることが重要。
ナットの締めすぎで配管を傷めないように注意。
2. 凍結破裂した配管の交換(DIY× → 業者依頼推奨)
- 修理手順
①給湯器本体近くの主給水管・給湯管を確認し、断裂箇所を特定。
②バルブを閉め、水抜き栓を操作して残水を抜く。
③破裂した部分の配管(銅管・塩ビ管)を古い配管カッターで切断。
④新しい配管(同口径の銅管または塩ビ管)を現地寸法に合わせてカットし、
継手などを使って耐熱配管継ぎ手を施工。
⑤テフロンテープ+パッキンを使ってナットを締め、水を通して漏れチェック。 - 費用相場
– 配管材料(銅管・継手・パッキン含む):5,000~8,000円程度
– 工賃(業者に依頼):15,000~25,000円程度(出張費+作業費込) - 難易度・注意点
銅管の曲げ加工や継手施工は専門技術が必要。
DIYで行うと漏れが止まらないリスクが高いため、業者依頼を推奨。
3. 本体内部の腐食・交換(業者依頼必須)
- 修理手順
①給湯器の製造番号・型番を確認し、メーカーサービスに問い合わせ。
②腐食箇所(タンクや熱交換器)を点検してもらい、
修理可能か本体交換か判断。
③修理可能な場合は、
メーカー純正部品(シールキット・熱交換器など)に
交換してもらう。
④本体交換となる場合は、新型給湯器への入替え見積もりを取得し、
設置作業を依頼。 - 費用相場
– 部品交換修理(シールキット・熱交換器):20,000~40,000円程度+工賃
– 本体交換(エコジョーズなど最新機種):100,000~200,000円程度(本体+取付工事費込) - 難易度・注意点
ガス配管や排気ダクトの取り外し・再接続が伴うため、
必ずガス種に適合した専門業者に依頼すること。
漏水調査と応急処置方法:漏れ箇所が特定できない場合
給湯器本体からの漏れか、床下の配管からの漏れか判断がつかない場合、まずは以下の手順で応急的に対処します。
1. 漏水調査の手順
- 給水元栓を閉める:家中の水栓が止まらないときは、元栓を閉じて漏水箇所を確認。
- メーターの回転を見る:水道メーターが回り続けている場合、どこかで漏れが発生している。
- 壁や床の染みを探す:漏れ水が染み出している部分を目視して、置かれている家具や床材を一時どかして確認。
- 給湯器周辺・配管露出部を触る:湿っている・冷たい感触がある箇所を指の腹で確認。
2. 応急処置方法
- 給湯器本体からの水漏れ:給水バルブを緩めて少し閉め、水圧を下げて様子を見ながら、
漏れが止まる位置を探る。
その間にメーカー指定の緊急止水バルブを使用するか、
一時的に止水栓を完全に閉める。 - 配管からの水漏れ:漏れ箇所に当て布をしてテープを巻き、
一時的に水滴を抑える。
テープはビニールテープよりも給水パイプ用の緊急止水バンドが有効。 - 床下や配管露出部の漏れ:バケツや雑巾を用意し、
水漏れ箇所の下に置いて被害拡大を防ぐ。
時間があれば配管の継ぎ目に使える「漏れ止めパテ」を塗布して一時的に固める。 - 凍結破裂の場合:元栓を閉め、
室内でできる範囲でドライヤーを当てて凍結を解消。
その上で漏れ箇所をパテやテープで仮補修し、専門業者を手配。
給湯器の寿命と交換タイミングの目安
給湯器は一般的に10~15年が寿命といわれます。以下のようなサインが見られたら、交換を検討しましょう。
- 何度も小規模な水漏れを繰り返す
部品交換では対応しきれず、次々に違う箇所が劣化しているサイン。 - 給湯パワーが落ちてお湯がすぐ冷める
熱交換器のスケール付着や内部腐食が進行している可能性。 - 燃焼エラーやエラーコードが頻発
本体内部の電子部品やセンシング部の不具合で交換したほうがコスト効率が良い。 - 経年による燃費効率の低下
最新型のエコジョーズ給湯器に換えると、年間でガス代が約10~20%節約可能。
上記いずれかに心当たりがある場合は、給湯器の買い替えを見積もり時に検討しましょう。
まとめ:まずは漏れ箇所の特定を、それでも困ったらプロへ
給湯器からの水漏れは、タンク・配管・パッキンの劣化や凍結・腐食が主な原因です。DIYで対応できるパッキン交換などは手軽ですが、配管破裂や熱交換器内部の腐食は専門業者に依頼する必要があります。
まずは漏れの程度・場所を自分で確認し、緊急時は元栓を締めて応急処置を行いましょう。そのうえで、給湯器メーカーまたは地元の水道屋に連絡し、型番・製造年・状況を伝えてスムーズに修理・交換につなげてください。結果的には、安全性と経済性を両立させるために、10年を超えた給湯器はエコジョーズなど最新機種への更新をおすすめします。




