防犯ガラス(合わせガラス)の仕組みとメリット
一般的なガラスは、一度割れると大きな破片が飛び散り窓やドアを容易に突破されてしまいます。防犯ガラス(合わせガラス)は、2枚のガラス間に特殊な中間膜(ポリビニルブチラール:PVB)を挟んで圧着しており、割れても破片が飛び散らず、侵入に時間がかかるため抑止力として非常に効果的です。
- 耐貫通性能が高い:バールやドライバーでのこじ開けにも強く、侵入を困難にする。
- 飛散防止機能:割れてもガラス片が中間膜に貼りつき、ケガのリスクを抑えられる。
- 断熱・防音性能が向上:合わせガラスはペアガラスと組み合わせることで、断熱や防音効果も兼ね備えられる。
玄関ドアの防犯ガラス選びの3つのポイント
玄関ドアは住まいの顔であり、防犯面で最も重要なポイントです。防犯合わせガラスを選ぶ際のポイントを押さえましょう。
防犯等級(CPマーク)の確認
- CPマーク(Crime Prevention Mark)は防犯合わせガラスの性能を示す指標。
CPマークには主に「CP10」「CP20」「CP30」などがあり、数字が大きいほど耐貫通性能が高い。
例:CP10でもバール攻撃に耐えるが、CP30ならさらに強度が上がる。 - 犯罪発生率が高い地域や心配な方は、CP20以上の防犯ガラスを設置すると安心。
ガラス厚みと断熱性能のバランス
- 防犯合わせガラスは最低でも4mm+PVB+4mmの構成が一般的。
ただし、断熱効果も求めるなら、ペア構造の防犯合わせガラス(6mm+PVB+6mmなど)を選ぶと窓断熱性能がさらに上がる。 - 厚みが増すと取り付けられるサッシの種類(アルミ・樹脂・木製)や重さが変わるため、施工前にドア枠の耐荷重や取り付け可能サイズを確認しましょう。
取り付け業者の選定と見積もりポイント
- 防犯合わせガラスはガラス屋(ガラス工事業者)に依頼。
最低でも3社程度から見積もりを取り、CPマークの等級・施工費・廃材処分費などを比較する。 - 既存のガラス枠を再利用するか、新しいサッシとセットで交換するかを選択。
(既存枠が腐食・歪みがある場合は、サッシごと交換したほうが長期的にコストを抑えられる) - 施工後の保証内容:割れた場合の再施工保証や、ガラス中間膜の剥離に対する保証期間を確認しておく。
DIYはNG?プロにしかできない理由と役割
防犯合わせガラスは厚みがあり重いため、自力での交換は極めて危険です。以下の理由でDIYではなくプロ依頼を推奨します。
- ガラス破片での怪我リスク:重くて大きなガラスを扱うとき、落下や割れが生じると深刻なケガの原因になる。
- 正確な寸法測定:窓枠やドア枠の歪みを含めてミリ単位で測定しないと、防犯ガラスが隙間なくはまらず、防犯性能が発揮できない。
- 取り付け技術:シーリング剤の打ち方や、ガラスを枠にしっかり固定する技法が必要。隙間が生じると結露や雨水浸入、防犯性にも悪影響。
防犯合わせガラスへの交換手順(業者依頼時の流れ)
業者依頼から施工完了までの流れを把握しておくと安心です。
事前準備:寸法測定と現地調査
- ガラス屋が現地訪問し、既存ガラスの寸法(幅・高さ・厚み)+サッシの状態を確認。
- 防犯等級や断熱要望(夏は遮熱、冬は断熱重視など)をヒアリング。
- 施工当日のスケジュール調整:家族構成(留守中のペット対策)や大型家具の移動が必要な場合は事前調整。
施工当日の作業内容と注意点
- ガラス屋到着後、既存の単板網入りガラスを取り外す。
(プロ専用のガラス吸盤や専用工具で安全に作業) - サッシ枠の汚れや古いシーリング(パテ)をすべて除去し、下地を平滑に整える。
- 新しい防犯合わせガラスを慎重に枠内にはめ込み、仮固定。
- 内側からビート材(シーリング剤)を打ち、ガラス周囲を密閉。
(ビート材は防水・防湿性を保つものを使用) - 外側からもシーリングを打ち、窓枠全体で気密性・防水性を確保。
- 施工後、動作確認(ガラスがぐらつかないか、鍵やクレセントが正常に動くか)を実施。
- ガラス破片や廃材をすべて回収し、きれいに掃除して作業完了。
まとめ
玄関ドアや窓に防犯合わせガラスを導入すると、飛散防止・侵入抑止・断熱・防音といった多くのメリットが得られます。DIYは危険なため、必ず専門ガラス屋に依頼し、CPマークの等級・断熱性能・防犯性能を満たすガラス選びを行いましょう。事前に複数社から見積もりを取ることで、コストと性能のバランスを最適に調整できます。




