取材で得たリアルな声を、重複を整理して読みやすくまとめています。
Q. 便利屋という仕事を始めたきっかけを教えてください。
独立前はサラリーマンとして働いていましたが、一つの職種に絞らず、さまざまな業種を経験してきました。共通していたのは、どの仕事においても「お客様への対応力」を何より大切にしてきたことです。接客そのものが好きだったため、自然と対人の仕事が中心になっていました。 初めて独立したのは令和元年で、軽貨物事業からスタートしました。個人として約1年半、引っ越しや配送など「物を運ぶ仕事」を中心に行っていましたが、次第にお客様から依頼される内容が多岐にわたるようになり、そのご要望に応えていくうちに現在の「何でも屋(便利屋)」という形態へと変わっていきました。 もともと手先が器用で、DIYなどを自分でこなしてしまうタイプだったため、この仕事には“趣味の延長”のような感覚もあります。また、便利屋の仕事は社会貢献度が高く、誰かの役に立てているという実感が得られるため、今とても楽しく取り組めています。 以前の仕事では「これだ!」と思えるものに出会えていませんでしたが、今の仕事はまさに天職だと感じています。じっと座り続けるのが苦手で、毎日同じ場所に通う働き方が性に合わなかったこともあり、毎日違う場所に行き、異なる作業に取り組む便利屋の仕事は、自分にとって理想的な働き方だと感じています。
Q. 主にどんなサービスを提供されていますか?
当店が提供している主なサービスは、庭仕事、お片付け、内装工事の3つです。特にこの3つが、日頃ご依頼を多くいただく中心的な業務となっています。 とはいえ、それ以外の幅広い作業にも対応しています。地域密着で活動しているため、エリアによってご依頼の傾向が大きく異なるのも特徴です。古くからの農家さんが多い地域では庭仕事のご相談が多い一方、新しい住宅開発が進む南山地域では、若い世代のご家庭から内装や外構に関するご依頼を多くいただきます。具体的には、入居後の表札やポスト、カーテンレールの取り付け、さらには家具の組み立てなど、生活の中で必要な細かな作業もお任せいただいています。 ホームページでは、害虫駆除や大掛かりな撤去・片付けまで、非常に幅広い業務を紹介しています。「便利屋」を掲げている以上、お客様から「あれはできる?」「これもお願いできる?」と聞かれた時に、できるだけ「できません」とは言いたくないというのが当店の方針です。そのため、自分でできる作業はもちろん、専門性が必要な内容については、信頼できる協力会社やスペシャリストと連携しながら対応しています。

Q. 年間でどれくらいのご依頼があるか教えてください。
ご依頼の件数は、平均すると1日あたり約3件ほどです。月の稼働日数はおよそ20日ほどなので、年間に換算すると約700件ほどの作業に対応している計算になります。 この数字には、丸一日かかる大きな現場から、1〜2時間程度で終わる細かな作業まで、すべての案件が含まれています。短時間の作業を複数箇所まわる日もあれば、大型の作業に一日中取り組む日もあり、内容はさまざまですが、地域の方々から多くのご相談をいただいています。
Q. 稲城市に住み続けている理由や、この街への思い入れについてお聞かせください。
現在拠点としている稲城市への貢献意欲はとても強く、街への思い入れも深いものがあります。もともとは東京の世田谷区出身ですが、結婚を機に稲城市へ移り住み、もう24年ほど経ちました。「ほどよい田舎で、都心にもアクセスしやすい」という暮らしやすさがあり、この土地が本当に気に入っています。 地域とのつながりも深く、市議会議員の方とのご縁から、さまざまなボランティア活動にも協力しています。イベント時には、軽トラックでテントやテーブル、椅子などの備品を運搬し、設営や撤収をお手伝いするほか、時間が許すときにはイベント当日に一日中参加して活動することもあります。 「地域の困りごとを手助けしたい」という思いが自分の根底にあり、街を盛り上げたいという気持ちも年々強くなっています。便利屋という天職を続けながら、組織を堅実に拡大し、サービスを安定させつつ、これからも地域密着の活動を通じて稲城市の暮らしを支え、街の活性化に貢献していきたいと考えています。

Q. お客様に信頼していただくために、どのような接し方や姿勢を大切にしていますか?
この仕事は、私にとって「究極の接客業」であり、同時に「地域社会への貢献」そのものだと考えています。だからこそ、接客業としての姿勢、人間性や信頼性を最も大切にしています。手を抜けばその分だけ結果に返ってくるという考えのもと、「本当にお客様のためになることを、誠心誠意行う」ことを常に心がけています。 技術があることは大前提ですが、それ以上に重視しているのは、人当たりの良さや話しやすさです。どれだけ腕が良くても、不愛想だったり、あまり話をしないタイプであれば、2回目の依頼にはつながりにくいと思っています。私はもともとおしゃべりが好きで人見知りもしないため、「いかにお客様に心を開いていただけるか」がリピートにつながる最大のポイントだと感じています。心を許していただければ、「相談しやすい・頼みやすい」という安心感を持ってもらえます。 また、一度ご依頼いただいた方が、別の業者を探さずに済むよう、「なるべく自分のところで全て完結できるように」幅広く対応できる体制を整えています。単に頼まれたことをやるだけではなく、「提案型のビジネスモデル」を大切にしており、「ここはこうした方が良さそうですが、いかがですか?」といったご提案を必ず行うようにしています。 そうすることで、お客様自身も気づいていなかった、本当は困っていたことが見えてくることも多く、結果として、依頼された作業以上の付加価値をご提供することにつながっています。
Q. これまでで特に印象に残っているご依頼はありますか?
創業当初は引っ越しのご依頼を多くいただいており、その中で、当時大学生だったお客様の引っ越しを担当したことがありました。それから約5年が経った頃、その方から久しぶりにご連絡をいただいたのです。大学を卒業して就職し、再び引っ越しをすることになった際に、「またお願いしたい」と声をかけていただきました。 5年ぶりの再依頼だったにもかかわらず、「当時のサービスがとても良くて印象に残っていた」と言ってもらえたことが本当に嬉しく、今でも強く記憶に残っています。「人の人生の一部に関わっている」と感じられた瞬間で、胸が熱くなりました。 もちろんリピートしていただけること自体も嬉しいのですが、何年も経ってから「またお願いしたい」と思い出して連絡をくださったこと、その時の仕事を評価し続けてくださっていたことに、大きな喜びを感じました。 このお客様がこれから結婚したり、お子さんが生まれたりした時に、「子どもの机を組み立ててほしい」など、人生の節目に再び関われるような存在になれたらとても嬉しく思います。便利屋という仕事は、単なる“作業”の提供ではなく、人の暮らしや人生に寄り添う「究極の接客業」だと、実感できた出来事であり、この仕事の大きなやりがいにつながっています。

Q. 今後の事業の展望について教えてください。
現在の事業である便利屋の仕事を「天職」だと感じており、「きっと一生続けていくんだろうな」と思っています。その上で、今後は主に 組織の拡大と地域貢献の強化の二つの側面から未来を見据えています。 まず、事業の安定化と拡大についてです。現在は基本的に一人で全ての業務を担っているため、対応しきれない場面が増えてきているのが正直なところです。実際に、コロナやインフルエンザに感染してしまい、お客様に日程変更をお願いせざるを得なかった経験もあります。こうした状況を踏まえ、「人を雇い、組織として事業を回していきたい」という思いが強まっています。 ただし、人を増やせば良いというものではなく、お客様からの信頼を絶対に損ねたくないという強いこだわりがあります。そのため、協力会社と業務提携する際も必ず直接会って話をし、実績やホームページなどを確認した上で、「ここなら任せられる」と判断した相手としか提携していません。 今後従業員を採用する場合も、まずはしっかり人材育成からスタートし、「一人で現場に行っても問題ない」と確信が持てるまでは現場に出さない方針です。丁寧に育てながら事業の質を落とさず、少しずつ組織としての体制を整え、将来的には法人化していくことを一つの大きな目標としています。

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