防犯合わせガラスの種類と施工費用—一歩先の安全対策

防犯合わせガラスの種類と施工費用—一歩先の安全対策

防犯合わせガラスとは?構造と防犯性能の仕組み

防犯合わせガラスは、2枚以上のガラスの間にポリビニルブチラル(PVB)フィルムなどの中間膜を挟み込み、一体化させたガラスです。この構造により、以下のような防犯性能が得られます。

  • 飛散防止機能
    ガラスが割れてもPVBフィルムが破片を保持し、
    飛び散りを防止。破片が飛んできてもケガのリスクを抑制。
  • 侵入抑止効果
    ハンマーやバールなどでガラスを破壊しようとしても、
    ガラス片がフィルムに固着してなかなか穴が開かない。
    侵入に要する時間が長くなるため、空き巣侵入のリスクを低減。
  • 遮音効果
    中間膜に音を吸収する素材を使う場合、
    複層ガラス同様の遮音効果も期待できる。
    Rw30dB前後の製品もある。

防犯合わせガラスの主なタイプと性能比較

防犯合わせガラスには、以下のようなバリエーションがあります。それぞれの特長と適用シーンを比較します。

1. ふつうの合わせガラス(厚さ6.8mm~8.8mm)

  • 構造:4mmガラス+0.38mm PVBフィルム+4mmガラス=8.38mm程度(合計厚さ約6.8mm~8.8mm)
  • 防犯性能:軽いハンマーやバールなどで割ろうとしても破片が飛び散りにくく、
    侵入に数十秒以上かかる。
  • 防火性能:標準的な合わせガラスは防火認定を持たないが、
    防火合わせガラスと同等の構造として認定を取得した製品もある。
  • 価格相場:12,000~18,000円/㎡(施工費込)
  • 適用シーン:住宅の玄関ドア・勝手口・窓ガラス・
    室内ドアのすりガラス部など

2. 強化合わせガラス(厚さ9.52mm~12.76mm)

  • 構造:強化ガラス(5mm~6mm)+PVBフィルム+強化ガラス(5mm~6mm)。
    (合わせた厚み:約11.38mm~12.76mm程度)
  • 防犯性能:通常の合わせガラスより強度が高く、
    ハンマー攻撃に対しても破壊に1分以上かかる。
    侵入抑止力が非常に高い。
  • 防火性能:強化ガラス部分は耐熱衝撃性能が高いため、
    防火合わせガラスとして認定を受けている製品もある。
    (防火設備として使用可能)
  • 価格相場:18,000~25,000円/㎡(施工費込)
  • 適用シーン:高級住宅の外窓・
    一戸建ての玄関・防犯性重視のオフィス窓など

3. 防災合わせガラス(耐貫通性能強化)

  • 構造:複層合わせガラスに加えて、特殊PVBフィルムを複数層使用。
    合計厚さは15mm以上の製品が存在。
  • 侵入抑止性能:バールやハンマーを長時間(数分以上)当てても、
    ガラス表面に亀裂は入っても容易に貫通しない。
    「耐貫通時間 10分以上」という防犯規格をクリアする。
  • 防火性能:製品によっては防火認定を取得しているものもあり、
    避難経路や防火窓として利用可能。
  • 価格相場:25,000~35,000円/㎡(施工費込)
  • 適用シーン:高級アパート・マンションのエントランス、
    重要機密室の窓、防火扉窓など

防犯合わせガラスを選ぶ際のチェックポイント

防犯合わせガラスを採用する前に、「侵入抑止力」「防火性能」「断熱・遮音性能」などを総合的に検討しましょう。

1. 侵入抑止規格(防貫通性能)を確認

  • 製品によっては「IC(侵入抑止)等級」や「耐貫通試験性能」が表記されている。
    IC1~IC3など、数値が大きいほど強度が高い。
  • 住宅の1階窓や玄関ドアは、最低でも「IC2(耐貫通時間 3分程度)」以上を推奨。
  • 重要度が高い箇所(店舗出入口や金庫室前)では「IC3(耐貫通時間 5分以上)」以上を検討。

2. 防火認定の要否を確認

  • 用途によっては建築基準法で「防火設備」として指定される場合がある。
    火災時の避難経路(避難通路)となっている窓は、防火性能を備えたガラスである必要がある。
  • 防火合わせガラスは、「防火設備」としての認定番号が付いているかを必ず確認。

3. 断熱・遮音・UVカット性能もチェック

  • 合わせガラスは厚みがある分、通常の単板ガラスより断熱性能が高いが、
    Low-E膜や乾燥空気層を併用することで、さらに断熱・遮熱効果が向上。
  • 防音合わせガラスを選ぶと、吸音フィルム層で騒音を吸収し、
    20~30dBの遮音効果を得られる製品もある。
  • UVカットフィルムを中間膜とした合わせガラスなら、99%以上のUVカットが可能。

防犯合わせガラスの施工手順と費用概算

防犯合わせガラスは、取り付けが難しいため専門業者に依頼するのが原則です。以下は一般的な施工手順と費用の目安です。

Step1:現地調査と工事仕様決定

  1. 施工箇所の採寸:窓の高さ・幅・枠の形状をミリ単位で計測。
    外窓・内窓(内側にもう1つ窓を付ける二重窓)どちらに取り付けるか検討。
  2. 施工環境の確認:周囲の建物状況(隣家の距離、道路沿いの騒音レベル)、
    窓の向き(南・北・東・西)による日射量を調査。
  3. 製品仕様の選定:防犯合わせガラスの種類(標準合わせ、強化ガラス合わせ、防災合わせ)、
    断熱仕様(Low-E膜、乾燥空気層、アルゴンガス)を決定。
  4. 防火認定が必要な場合は、その旨を業者に伝え、
    防火合わせガラスの認定番号を確認。

Step2:既存ガラス撤去とサッシ下地補修

  1. 作業前に周囲を養生し、
    ガラス破片やほこりが床や家具に飛散しないようシートを敷く。
  2. 既存ガラスを慎重に取り外し、破片を安全に処分。
    (ゴミ袋・段ボールで包んで「割れ物」表示を)
  3. サッシ枠のレール・ガラス溝に残ったビート材・シーリングを除去し、
    サッシ枠の腐食や歪みがないかチェック。
  4. 必要に応じてサッシ枠を補修:防錆塗装やシーリング再施工、サッシ下地の平滑化など。

Step3:防犯合わせガラスの取り付け

  1. 防犯合わせガラス(ユニットガラス)を搬入。
    ※通常、配送業者が納品するので、
    作業日は時間調整が必要。
  2. サッシ溝に耐候性ビート材(ガラス押さえゴム)をセットし、
    新しい防犯合わせガラスを慎重に差し込む。
  3. 押さえ金具やビート材でガラスを固定し、
    水平・垂直を再度確認。
  4. 周囲にシリコンシーリング材を充填し、水密性・気密性を確保。
    特にサッシと壁の取り合い部分にはしっかり打つこと。
  5. 施工後24~48時間はガラス面を触らず、
    シーリングの完全硬化を待つ。

施工費用目安(既存サッシ枠そのまま利用時)
– 標準合わせガラス(6.8mm厚):約12,000~18,000円/㎡
– 強化合わせガラス(12.76mm厚):約18,000~25,000円/㎡
– 防災合わせガラス(15.14mm厚):約25,000~35,000円/㎡
– サッシ補修・シーリング再施工:3,000~5,000円/窓1か所
– 既存ガラス撤去・廃材処分費:3,000~5,000円/窓1か所

防犯合わせガラス導入時のよくあるトラブルと対策

  • 施工後も風切り音が気になる:サッシ枠の気密性不足が原因。
    → サッシ枠まわりの隙間をシーリング材や気密テープで再度塞ぎ、
    防音性能を最大化。
  • ガラスが重くてサッシに収まらない:強化合わせガラスや防災合わせガラスは重量が増すため、
    サッシ枠の強度が足りないことがある。
    → 事前にサッシ枠補強や枠交換を検討。
  • シーリングが白濁して見た目が悪い:気温・湿度が高い状態で施工するとシーリングが
    白濁しやすくなる。
    → 施工する季節や日の選定を工夫し、
    湿度が低く風通しの良い日に施工。
  • 防犯性能が期待ほど向上しない:合わせガラスだけでは衝撃音を完全に遮断できないことがある。
    → 内窓(二重窓)や外付けシャッターを併用することで、
    総合的な侵入抑止効果を高める。

まとめ

防犯合わせガラスは、飛散防止・侵入抑止・防音効果を一体化したガラスであり、
住宅やオフィス、商業施設の安全対策に最適です。
選ぶ際は「侵入抑止規格(IC等級)」「防火認定の要不要」「断熱・遮音・UVカット性能」などを慎重に検討し、複数社で工事見積もりを比較することが重要です。
施工後は、サッシまわりの気密性確保やシーリング処理を丁寧に行うことで本来の性能を長期間維持できます。
自身の住環境や用途に合わせて最適な防犯合わせガラスを選び、安全で快適な住まいづくりを実現しましょう。

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