依頼前に覚えておきたい「害虫・害獣駆除の相場」と費用の抑え方

はじめに

本記事の目的と構成

本記事の目的は、害虫・害獣駆除などのトラブルに対応出来る業者を探す際にぼったくり被害に遭わない業者を選ぶ際の手助けとなる情報を提供することです。トラブル別の相場と費用を抑えるためのポイントを理解することで読者が自分に最適な選択をするためのガイドとなることを目指しています。

1. 害虫・害獣駆除出張サービスの価格別分布

害虫・害獣駆除出張サービスの価格は、さまざまな要因によって異なります。一般的な価格帯は以下のようになりますが、地域や業者によって異なることがあります。

Price Distribution

編集部の独自調査によると、ボリュームゾーンは10,000〜450,000円ほどとかなり開きがありますが、全体の平均でみる場合は50,000~100,000円付近に収まるというのが一般的です。被害の広さや種類にもよりますが、害虫駆除に比べ害獣駆除の場合は別途清掃・消毒・修繕などの二次被害対策が必要になることが多く、料金が高くなる可能性があります。ここではより詳しく、価格帯別ごとの特徴をみていきます。

価格帯別の特徴

10,000〜49,999円:

  • 巣のでき始めや狭い範囲など、ごく簡単な駆除。
  • 作業にかかる時間や人件費が抑えられるため、価格が低めに設定されている。

50,000〜99,999円:

  • ある程度被害が広がった状態での駆除。高所作業なども含まれる。
  • 現地調査や見積もり・駆除作業・再発防止対策・清掃・消毒などにある程度時間がかかり、人手も必要になる。

100,000〜199,999円:

  • 害虫・害獣が住み着いてから数カ月経過していて被害範囲が広く、侵入経路が多い場合の駆除。
  • 複数カ所の侵入経路の封鎖費用や建物の修繕費用などが必要になり、料金が高くなる。

200,000〜299,999円:

  • 築年数の古い家や50坪以上の広い家での駆除など。
  • 足場の設置が必要な場合は、足場代だけで100,000円以上かかることもあり料金が跳ね上がる。

300,000〜450,000円:

  • 害獣の数が多く作業の難易度が高い駆除。
  • ハクビシンやアライグマなど、許可や資格が必要な害獣は料金が高くなりやすい。

業者によって価格にばらつきが出る理由

1. 人材不足による人件費の高騰

一部の地域では、害虫・害獣駆除業者の人材不足により人件費が高騰しています。害虫・害獣駆除業者は危険を伴う作業することが多く、肉体的にも精神的にも過酷です。害虫・害獣駆除業者は高い人件費を補うために、価格を上げざるを得ない場合があります。

2. 広告宣伝費の高騰

昨今は外来生物の繁殖や害獣が都市部で暮らす例も増加しているため、害虫・害獣駆除の需要が高まっており、競合が激しくなっています。害虫・害獣駆除業者は新規の集客を積極的に獲得する必要があるため、広告宣伝費を増やさざるを得ません。これにより価格競争が促進され、価格のばらつきが生じます。

3. 移動コストの高騰

害虫・害獣駆除出張サービスでは、作業現場までの移動にコストがかかります。燃料費の上昇や交通渋滞などの要因により、移動コストが高騰することがあります。これらのコストについて、駆除業者は料金に反映させることがあります。

害虫・害獣の種類や作業内容によって変わる費用

害虫・害獣駆除出張サービスは、害虫・害獣の種類や作業内容などによって費用が異なります。以下に、主な害虫・害獣の種類とそれぞれの費用の特徴をまとめました。

1. スズメバチ駆除

スズメバチ駆除の費用は、巣の大きさと場所などによって変動します。大きな巣は危険度が高く、駆除に手間や機材が多く必要であり、使用する殺虫剤の量も増えます。また、高所に巣がある場合や狭い空間での作業は、はしごや高所作業車の利用が必要なこともあり、追加の費用がかかるでしょう。これらの要因が駆除料金に影響を与えるため、料金が変動するのは避けられません。

2. シロアリ駆除

シロアリ駆除の料金は、主に以下の要因で変動します。まず、被害の状況が深刻であればあるほど対処が難しくなり、追加の工事が必要になることがあります。次に、駆除工法には「バリア工法」と「ベイト工法」があり、それぞれ費用が異なります。特に天然系薬剤を使用する場合は割高です。また、シロアリの種類によっても費用が異なり、特にアメリカカンザイシロアリは完全駆除が難しく高額になることがあります。

3. アライグマ駆除

アライグマの駆除料金は、被害の程度や状況、施工面積、そしてアライグマの数によって異なります。被害が深刻な場合は天井の張り替えが必要となり、料金が高くなることがあるでしょう。また、被害確認から時間が経つと、費用が増えることが多いのが特徴です。施工面積が広い場合や侵入口が多い、高所作業が必要な場合なども料金に影響を与えます。さらに、侵入しているアライグマに子どもがいると、追加の作業が発生し、費用がかかるでしょう。特に4月から5月の出産時期には注意が必要です。

4. イタチ駆除

イタチ駆除の料金は、被害の深刻さや再侵入を防ぐ対策の量、敷地の広さにより異なります。例えば、イタチが長期間住みついていた場合、フン尿の清掃や多数の侵入路の封鎖が必要となり、費用が増加します。また、広い敷地には納屋や車庫などイタチが隠れる場所が多く、調査や防止策に手間がかかるため、費用が高くなるでしょう。さらに、使用する駆除方法やイタチの数によっても追加の費用がかかる場合があります。

5. ハクビシン駆除

ハクビシン駆除の費用は、以下の要因で変動します。まず、作業範囲が広いと燻煙剤の使用量や作業人員が増え、費用が高くなることがあります。次に、侵入口が高所にあったり、被害が長期間にわたったりすると、作業の難易度が上がり費用が増加します。また、侵入口が多い場合は、それらをすべて塞ぐための作業が必要となり、費用がかさむことが一般的です。さらに、ハクビシンの捕獲を行う場合、許可申請や捕獲器の管理費用が加わることもあります。

6. ネズミ駆除

ネズミ駆除の費用は、さまざまな要因によって変動します。まず、建物の広さが大きいほど、坪や平方メートルあたりの料金が設定されているため、費用が高くなるのが特徴です。また、「一戸建て」か「マンション・アパート」か、さらに木造や鉄骨造りなど、建物の種類や構造によっても費用が異なります。施工内容によっても違いが生じ、一部駆除と完全駆除では、後者が高額になる傾向にあります。加えて、施工期間や訪問回数が多くなると、それに伴って費用も増加するでしょう。

7. コウモリ駆除

コウモリは、天敵から身を守るため狭い隙間を好んで選び、通気口や新築の天井裏に住みつくことがよくあります。通気口に住みついた場合は、手の届く範囲での作業が可能であり、重機を使わずに駆除できるため、比較的低コストで対処可能です。しかし、天井裏に住み着いた場合は対策が大規模になることがあります。鉄筋の足場が必要になる場合は、費用がかなり高くなるでしょう。

8. ゴキブリ駆除

ゴキブリ駆除の料金が高くなるケースには、いくつかの要因があります。まず、家の間取りや面積が広いと、駆除の範囲が広がり、費用が増加します。また、侵入経路が多数存在する場合、それらを全て塞ぐ必要があるため、追加費用が発生するでしょう。さらに、事業者が自宅から遠い場合には出張費が加算されることがあり、22時以降の対応では深夜料金が発生することもあります。

9. ダニ駆除

ダニ駆除料金は、基本料金と施工にかかる別途料金を合わせて比較する必要があります。一般的には、ダニ駆除は2回の施工が標準で、1回あたりの料金と総額も確認することが重要です。施工方法には、薬剤を使った方法と熱処理があります。多くの業者は薬剤を使った料金を表示していますが、薬剤が使えない寝具などには熱処理が適用され、別途料金がかかることがあります。また、使用する薬剤や処理方法は業者によって異なり、小さな子供やペットがいる家庭では安全性の確認が必要です。

業者の広告は嘘なのか?

インターネットで検索してみると、「害虫・害獣駆除8,800円~!」「出張費無料!」の様なお手頃感のある表記を見かけます。この価格ならお願いしようと電話をかけてみると「ホームページの料金は最低価格で一番簡単な駆除の場合です。実際には現場に行って被害状況などを確認しないと正確な見積もりが出せない。まずは見積もり・出張無料なのでお伺いさせてください」とアナウンスされることが多いでしょう。

実際1カ所だけの侵入口の封鎖であれば表記通り収まることもありますので、完全な嘘とは言えません。しかし、現地調査をすると複数の侵入口が見つかることが多く、結果として大半の方は最低価格や基本料金で収まることはありません。これは、害虫・害獣駆除サービスに対する知識の無さから誤解させてしまっていると言えるでしょう。

まとめ結論として「完全な嘘では無いが透明性が高い」とは言えません。よって相場を知っておく事で悪質なぼったくり被害に遭うリスクは少なくなるでしょう。需要に対して競合が多く集客を維持するためにギリギリの表現をせざるを得ない業界ですが「ぼったくり」と「ユーザーの誤解」は全くの別問題で多くの業者は適切な仕事を適正な価格で提供しています。しかしながら近年の人件費・燃料費・広告コストの高騰の背景もあり1件の訪問対応を行って数千円で収まるということはまずあり得ないと理解しておくべきです。

少しでも費用を抑えるためのポイント

一般的な利益構造

総支払い費用と内訳のイメージ

総支払い費用と内訳のイメージ

項目金額(円)割合
利益12,50025%
人件費12,50025%
薬品代5,00010%
燃料費・車両維持費5,00010%
広告宣伝費15,00030%
合計50,000100%

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